귀족 그만둡니다, 서민이 되겠습니다 63화

다메즈마 (토론 | 기여)님의 2018년 6월 15일 (금) 09:36 판

누군가의 앞에서 우는 시늉을 하고 상대의 반응을 보는 것을 한 것은 처음이었다.
그 이상의 장난이라도 내 기분을 풀어주려는 사람은 지금까지 없었다. 으 이전에 내 얼글을 보는 일도 거의 없었으니까.
나도 사우전트가에 있던 때는 누군가가 내 기분을 풀어주는 것 이전에 내가 엮일려고도 안했다. 내 존재를 눈에 띄지 않게 하려는 데 열심히했다. 저택을 빠져나오던 때는 자신을 되찾았지만.
그렇게 생각하니 어쩐지 오늘은 처음으로 타인과 가까워진 것을 잔뜩 실감했다고 생각한다.

エイダさんとじゃれていたら、ディックさんが戻ってきた。ウェラー隊長と一緒に。何故か衛士さんがさらに3人ほど加わっている。

「ディック、勘弁してくれよ。俺、今日は昼からやっと非番に入ったんだ。昼寝させてくれよ。」
「そんなこと言わないでウェラー隊長、すみません。ちょっとだけ付き合ってくださいよ。」

あれ、珍しく、ディックさんが頭下げて丁寧な言葉を使っている。詰所にいる知り合いってウェラー隊長のことだったのかな?
でも、私はあんまり隊長に会いたくないんだよね。あの、赤い髪の毛がどうにも、私の心を不安にさせる。別れたサウザント家の家族を思い出させるんだよね。

「ん。よう、アーシャにエイダ。」
「「こんにちは。」」

昼食も済んで、店内はかなり閑散としてきた時間帯。ただ腰掛けて話をしているだけなのに、身体の大きい隊士達とディックさんは店内でかなりの存在感を放っていた。
あれ?何人かの男達が避けるようにして、そっとめんどり亭から出て行く。ちょっとうつむき加減で。ディックさん達、商売妨害していない?

「おーい、元気な若者。あいつらをちょっと見てこい。深追いしなくていいぞ。」
「「ういっす。」」

顎でクイッと方向を示したウェラー隊長の言葉を受けて衛士さんが3人出て行った。

「ディック、これでいいか?」
「ああ。ほら、言ったとおりだったでしょ。変なの居たでしょ。衛士の詰所の目と鼻の先で、俺がこいつらの側に居るってのにイヤーな目つきでアーシャのことずっと見ているんだぜ。この辺りの治安が悪くなったなんて話は聞かないから、タチの悪そうなのが何の目的で居たんだか気になってな…」

そういいながらディックさんは私を見ている。
…ええと、私、なんだか狙われていた?

私が深く考える前に、「アーシャ、送ってやるから、帰る準備しろ。」とディックさんに言われて帰ることになってしまった。待っていろってそういうことだったんだ。
「またね、アーシャ。」
「また来ます。」

小さく私は皆に手を振った。再会の約束をして別れることがこんなにうれしいなんて!
保護者付きの帰宅となったのが少々不満だけど。
気分良く私は帰路についた。

◇◇◇

「…アーシャ、お前は気づいていなかったかもしれないが、俺がお前に会った時からさっきのやつらお前のことつけていたぞ。」
「…(怖)…」

うわっ、鳥肌たったんだけど。思わず自分で自分を抱きしめる。
横目でディックさんを見れば、半目で「大丈夫か」といった様子で私を見ている。

「素人の単なるナンパな奴らだとは思うが、…そのドレスでこの辺りを1人で歩くのは止めろ。いい金蔓(かねづる)の恋人にされるぞ。もっとこう、動きやすそうな服持っていたよな。目を付けられないように王宮の官舎から出て王都に1人で出る時は庶民的な服にした方が良い。」

官舎出てから王宮庭園内を歩くし、あんまり変な格好で歩けないと思って、この服にしたんだけど。失敗かあ。
まあ、商品の搬入や下働きで出入りする平民も王宮内には出入りしているわけだし、貴族の皆さんと接する時だけ制服や改まったドレスを着れば良いかあ。

「庶民的な格好の方が何かあった時に走りやすいだろうしな。」

考え込みそうだった私に冗談めいた口調でディックさんが声をかけた。私の気持ちが落ち込まないようにしてくれたのかな。
辺りを見れば、確かに私のドレスは少々浮いている。王宮で過ごす時間が増えて、少々私の庶民感覚がマヒしていたみたいだ。

「ディックさんこそ、その格好は私とは違った意味で目立っていますよ。」
「俺は何が来ても、かわせる力と金を持っているから、大丈夫だぜ。嫌でも女を引き寄せちまうは問題なんだがな。」

はいはい、自信があって良いですね。実力があるって良いですね。見られていることを恥ずかしく思わない図太さは私には分かりませんよ。
…なんか、悔しい。
腰に手を当てて、「へへん」とばかりに鼻で笑うディックさんの背中を蹴飛ばしたくなったのは、私が庶民に近づいたせいばかりではないと思う。