저는 약 장수(남)으로 살아가기로 했습니다 1장 31화

다메즈마 (토론 | 기여)님의 2020년 3월 11일 (수) 15:30 판 (ㅄ)
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"윌리엄, 지금 당장 신부를 찾으러 가라"

왕의 집무실에 불려 무슨 일인가 싶어 입실하자 처음 들은 말이었다.

"예? 아버님 무슨 말씀을 하시는 것입니까. 지금까지 잔뜩 맞선을 보지 않았습니까? 이제 충분하지 않습니까. 저는 그런 일에 시간을 들일만한 틈은 없습니다"

"그런 말은 다 돼었다! 너는 이 상황을 이해하고 있는 거냐! 성실함이라고는 눈꼽만큼도 없는 무법자에 여성에 대한 배려도 없다, 고 악평이 자자한 네게 맞선을 소개하는 것도 힘든데…… 너는 이 나라, 엑소시스 왕국 제 3왕자로서 자각이 부족하구나! 윌리엄 에드몬드!!"

쾅, 책상을 크게 두드리며 일어서는 내 아버지인 이 나라의 왕, 오스카 에드몬드는 역정을 냈다.
거리의 기사마저 움찔거리만한 박력이다만 내게는 매번 있는 일이기에 이제서는 동할 일은 없었다.
그보다도…… 내게 그런 악평이 자자했을 줄은.
확실히 형들이 다니던 학원에는 입학했지만 거의 수업에는 안 나갔고 시험도 안 쳤다.
그런 일에 시간을 쓰는 것보다도 마술의 연구동에 얼굴을 디미는 편이 의미있게 시간을 지내는 것이라 생각해 거기에 들어가 녹아내렸다.
나는 흥미 있는 일에는 열의를 가지지만 흥미없는 것에는 그다지  俺は興味のあることには熱意を向けられるが、興味のないことにはとことん目を向けない性格だと自覚している。

 だから、まあ、女性の扱いに関しては俺の興味のない分野だから分からなくても仕方がないな!


「そんな噂を流したい奴には勝手に流させておけば良いんですよ」


「そういう問題ではない!!王族が妻を持たないということがあってはならん!よし、出発しろ。今すぐに出発しろ。ジェラールいるか!」


「はっ。お呼びですか、陛下」


 俺の言葉を聞いた父上はさらに怒りを大きくして声を荒げた。

 まずい、今回はいつもよりも虫の居所が悪かったようだ。

 穏便に済ませるための言葉を間違えてしまった。

 父上がジェラールと呼ぶと外で控えていたのか、すぐに一人の男が入室してきた。

 確かあの男は俺の兄、第一王子ディオン・エドモンドの従者だったと記憶しているが。


「ウィリアムと共に妻となる女性を探し出してくるのだ!見つかるまで帰ってくることは許さん!!これは国王命令だ!!」


「かしこまりました。」


 俺がその男に気をとられている間に、勝手に話が進んでいった。

 待て!

 俺はそんなもの探しに行かなくてもいい!!

 勝手に決めないでくれ!


「待ってください!父上!それは何でもあんまりです!!………………待てって言ってんだろうくそ親父!!」


 国王命令とあらば周りの兵たちも逆らうことが出来ない。

 第三王子である俺のことを王の執務室から引きずり出す。

 そして俺の叫びにあのくそ親父は答えることなく、俺はこのまま本当に妻探しをしなくてはならなくなったのであった。







「俺は別に妻なんて欲しくない!」


「はいはい。もう、諦めましょう。ウィリアム様も私も次にこの門を通れるときは、妻となる女性を共に連れた時なんですから」


 有無を言わさずに放り出されたのは隣国、ラミファス。

 俺とジェラールは二人、固く閉ざされた国境の門の前に立ち尽くしていた。

 国内では第三王子ウィリアムの顔は知れ渡っているので悪印象から結婚してくれるような女性を見つけるのは難しいだろうという王の配慮からだ。

 国から出たことなんてほとんどないのに、これから異国で生活していくことになるなんて。

 そんな配慮は必要なさすぎる。


「さて、どこへ行きましょうか?ここからだとハートリルという街が一番近いですね。とりあえず、ここから移動しないと今日は野宿することになってしまいますよ」


「……分かった。じゃあ、その街に向かうぞ」


 野宿なんて冗談じゃない。

 この門を開けて再び王宮に戻ることを諦めた俺は歩き出した。

 だが、妻を本気で探す気になったわけではない。

 俺にはそんな相手がいるとは思えないから。


 大国、小国に関わらずどこの国でも王族との婚姻に関係してくるのは政治的なこと、つまり政略結婚だ。

 国のさらなる繁栄のために結婚を一つの手段として使うことは間違いではない。

 しかし、母国エクソシスはそれとは異なる。

 自分が心から愛した相手とでないと結婚してはいけないという先祖代々の伝承があるのだ。

 そんなもの、言いつくろえばどうにでもなるだろうと疑う者もいるが安易に考えてはいけない。

 何代か前、繁栄の一途を辿っていたエクソシスは何の前触れもなく国家存続の危機にまで陥った。

 大飢饉に流行する強力な感染症、そして戦争の大敗北。

 大部分の国土を敵国に奪われてしまった。

 その時の王は正妃の他に何人もの妾を囲っており、端から見ても妻を愛しているようには見えなかったという。


「俺には心から愛する者なんてもう見つけられるはずがない」


「もしかして、ウィリアム様にはどなたか忘れられない方がいらっしゃるんですか?」


 隣を歩くジェラールに声をかけられて、自分が思っていたことをつい口にしてしまっていたことに気づく。

 そして、その言葉で俺は図書室でいつも本を読んでいたあいつのことを思い浮かべた。

 俺のその様子にジェラールは少し面白そうに目を開いた。


「……驚いた。ウィリアム様にもそういう方がいらっしゃったとは。女性には興味がないものとばかり思っていましたから。それで、その方はどんな方なのですか?私ももう無関係な訳ではないのですから教えて下さっても良いと思いますよ」


「お前………う、分かった。話す」


 興味津々といった風なジェラールに苛立ちを感じて睨むと逆に非難するような目で返されてしまった。

 ジェラールとは今まで話したことなどほとんどないというのになれなれしくないか?

 だが、こいつまで隣国に行く羽目になったのは俺のせいということもあるので自分のことを話すぐらいはしてやってもいいか。

 それに、俺がどうして結婚相手を見つけられないか分かればこいつも無理強いするようなことはしなくなるんじゃないかという打算もある。


「幼い頃、図書館で本ばかり読んでいる珍しい奴に会ったんだ。最初はそんなことをしているなんて変わった奴だと思っていたんだが、そいつが本を表情をころころ変えて楽しそうに読むものだから気になって声をかけた。それが出会いだ。」


「もしかして、初恋ですか?それで、その方とは結局どうなったんです?」


 ジェラールが再び問い詰める。

 初恋だと?

 ああ、後にも先にも気になった相手はそいつだけだったが、そんなことまで教える義理はない。

 その件に関しては無視して話を進める。


「その後もそいつとは図書室で度々会うようになって………」


「会うようになって?」


「宝玉のペンダントを渡した」


 さすがにこのことを口にするのにはためらってしまった。

 ジェラールを見ると先ほどよりもさらに目を開いて驚いている。


「宝玉のペンダントを贈る行為は………王家の最大の愛情表現ではないですか!」


「ああ、そうだよ!!あの頃は俺も若かったんだ!だが、分かっただろう。俺がそんなにまで思った相手がいたんだから、次の相手を見つけるなんてできないということが」


 そうだ。

 王族において好いた相手に宝玉のペンダントを贈るということは最大の敬愛を示す、つまり結婚を申し込むことにも値する。

 先祖代々、王は正妃にこれを贈っていた。

 あの時も渡すときにそれなりに緊張したが、後からそのことを人から言われることがこんなにも恥ずかしいことだとは。

 それに、あの頃はまだ幼くその行為の意味を十分理解していなかったからこそできたのだ。

 言ってしまった以上、否定しても照れていると思われてはジェラールの思うつぼであるので切れ気味に肯定しておいた。


「若い頃って、今もウィリアム様は十分お若いですよ。ですが、どうしてその方とはご婚約なさらなかったのですか?」


「10年も前のことなんだから今よりも若いだろ。婚約しなかったのは、あいつがいなくなってしまったからだ。ペンダントを渡した直後に隣国に留学することになり、そこで行方不明になったと聞いている。」


 あの時、俺はペンダントを渡してからすぐにその場を去ってしまったのであいつの返事を聞いていない。

 その後も、なかなか会うことが出来ずにあいつはいつの間にか留学に行ってしまったのだ。

 そしてそのまま会うこともなく、行方不明ということにはなっているが恐らくあいつはもう………


「レイラ様の妹のエリザベート様のことをお好きだったんですか。それはお辛かったですね………」


 残念そうにそう呟くジェラールの口から出たその名前に俺は耳を疑った。


「なに?お前、エリザベートのことを知っているのか?」


「はい。王家に関わるだろう人物のことは調べておりますので」


 なんということだ。

 10年も前にいなくなったエリザベートのことをこいつが知っていたとは。

 その時にはまだジェラールは王宮にはいなかったはずであるのに。

 そうか、俺の兄、第二王子クラレンス・エドモンドの婚約者がエリザベートの姉、レイラであるからか。

 そいつを調べたときに10年前に行方不明になった同じく婚約者候補だった妹がいたと知っても不思議はない。

 しかし、ジェラールがエリザベートのことを知らないだろうと思って話したのに、しかも俺があいつのことをす、好きだったなんてそんなにはっきり言うなんて恥ずかしすぎるだろう!!

 俺が何とも言えない表情でジェラールのことを伺っていると奴は湿っぽい表情から一変、急に明るくこんなことを言ってきた。


「そういうことでしたら、ご安心ください!私が傷ついたウィリアム様の心を癒やすべく、最良の女性を見つけるためにサポートさせていただきます!」


「い、いや、俺はそういうことが言いたかった訳ではなくて」


 俺の制止を気にすることなく、あーでもないこーでもないと一人、考え始めた。

 変な方向に解釈したジェラールは俺が目論んだようには動いてはくれなさそうだと分かり、話たことを後悔した。