저는 약 장수(남)으로 살아가기로 했습니다 1장 32화

다메즈마 (토론 | 기여)님의 2020년 3월 20일 (금) 19:11 판

"엘리자베트님이 유학가신 곳은 이곳 라미파스이기에 만약 그녀가 어디에 계신다면 만날 지도 모른다고요"
"그럴 리가 없잖아. 이상한 기대 하게 하지마"

엘리자베트가 행방불명이 되었을 때 나는 자신이 사용할 수 있는 수는 전부 사용하며 최대한 탐색했다.
그렇지만 엘리자베트에 대한 실마리는 하나도 못 찾았다.
이미 죽었다던가 만약 살아 있어도 간단히 만날 수 있을 터가 없다.
그러나 그러고 보니 엘리자베트가 유학한 나라가 여기였던 것인가
그다지 이 나라에 오래 있을 마음은 없지만 엘리자베트가 배우려 한 것을 보는 것도 좋을 지 모르겠어.

"죄송합니다. 이 말을 실례한 것이기에 잊어주십시요. 가볍게 입으로 내서 좋을 말은 아니었지요"

제랄은 자신의 발언에 과하게 우울해 보였다.
오활한 말을 해버렸다는 후회 외에도 누군가를 떠올리는 듯한 표정이다.
제랄도 소중한 누군가를 떠나보낸 것일까.

"아, 엄청 신경 쓰이는 건 아냐. 그것보다도 마을까지 앞으로 얼마나 걸리지?"

그럼 제랄를 더 이상 추구하지 않고 이야기를 돌렸다.

"그렇군요. 이 페이스로 가면 해가 저물기 전에는 도착하겠네요. 이제 곧 입니다"

제랄은 정신을 차리며 평소같은 수상쩍은 미소를 짓는다.
어느 누구든 마음에 잊을 수 없는 슬픔을 품었을 지도 모른다.


하토릴은 아직 해가 높이 뜬 사이에 다다를 수 있었다.
마물에게 마을을 보호하기 위한 외벽과 문은 훌륭하지만 사람의 왕래는 의외로 스무스하다.
문을 지나 마을에 들어가자 그곳에는 북적북적한 상점이 펼쳐졌다.

"다른 나라라고는 하지만 문화는 그리 다르지 않구나"

그런 말을 해 보지만 속으로는 거리의 활기에 자극받아 기분이 고양되었다.
엑소시스에 있을 적에도 왕족이기에 성 밖에 가볍게 가지 못 하고 이렇게 상점이  エクソシスにいた頃も王族であるので城下に気軽に行くことは出来ず、このように商店が建ち並ぶ様をじっくり見られたことはない。

 それによく見るとエクソシスでは見たことがない野菜や果物、料理がある。

 興味を引くものばかりで自然と視線があちこちへ移動する。


「ウィリアム様、もっと周りに注意して歩いてくださいね」


「分かっている。そんな子供に言うようなことは不要だ」


 ジェラールは俺のことをいくつだと思っているんだ。

 馬鹿にしているのか?

 しかし、本当に珍しいものがたくさんあるな。

 あ、あの赤い果物は聞いたことがあるぞ。

 確か、食べると口の中ではじけると言っていたような………


「きゃっ」


 また無意識のうちに視線を奪われていたせいで、前方から来る人を避けることが出来ずにぶつかってしまった。

 カランと音がした方を見ると赤いペンダントが落ちていた。

 どうやら彼女が落としたようだ。


「す、すまない」


「いえ、こちらこそごめんなさい。ペンダントを付けようとしながら歩こうとするからいけないのよね。あら、拾ってくれてありがとう。あ!リュカ、ちょっと待ってよー!」


 謝罪をして彼女が落としたペンダントを拾って差し出す。

 ペンダントを受け取った彼女は誰かを追いかけて颯爽と去って行った。


「まったくあれほど言ったのに……ってウィリアム様?どうかなさいましたか?」


 その女の背中を見つめたまま動かなくなった俺にジェラールが不思議そうに声をかける。

 俺は先ほどペンダントに付いていた宝玉に触れたときの感触を反芻していた。


「あれは、あの宝玉は………そうか。生きていたのか、エリザベート」


「え?」


 ジェラールが驚いたように声を上げる。

 あれほど探しても見つからなかったエリザベートの名前を口にしたのだから驚くのも無理はない。

 だが、先ほど拾ったあの赤い宝玉は俺がエリザベートに贈った物に間違いない。

 実は王家が贈る宝玉のペンダントは本当に愛する者への気持ちを込めて自分の魔力を魔石としたものを組み込んでいる。

 先ほど触れたとき、俺の中にある魔力と宝玉の中の魔力が共鳴していたので確実にそうだと分かる。


 しかし、エリザベートはどうしてそのまま去ってしまったんだ?

 10年もたっているから成長した俺のことが分からなかったんだろうか。

 実を言うと俺も見た目だけではあいつと分からなかったしな。

 だったら今から教えに行ってやらないと。

 ここで会えたことにあいつはどれほど驚くだろう。


「おーぃ……むぐっ」


「ちょ、ちょっと待ってください!」


 俺がエリザベートに声をかけようとすると、ジェラールが焦った様子で俺の口を塞いだ。

 その間にエリザベートは俺に気づかずに人混みに紛れてしまった。


「なにをするんだ!!見失ってしまったではないか!!」


 ようやく俺の口から手を離したジェラールに文句を言う。

 するとジェラールは俺の肩に手を置いて諭すようにした。


「落ち着いて考えてみてください。本当にあの方がエリザベート様だったんですか?他人のそら似かもしれませんよ?」


「そんなはずはない!あいつは絶対にエリザベートだ!あれは俺が渡した宝玉のペンダントだ」


 俺は確信をもってそう言える。

 俺のそんな態度にジェラールは顎に手をあてて何やら考え出した。


「そんなことはありえない。宝玉のペンダントも似ているものなら分からないだろう。だが、勘違いさせたまま女性との接し方を学ばせるのも得策か…………ウィリアム様。そういうことでしたら、私もお手伝いさせていただきます。」


「お、おう。」


 ジェラールは実に人の良さそうな笑顔を向けてきた。

 最初に何か口の中でもごもごと言っていたことは聞き取れなかったが、あいつはまた一人でなにか考えていたのだろう。

 その父上とは別の意味での迫力に圧倒されながらも、協力してくれるのなら断る必要もないと思い頷いた。


「ですが、彼女に近づくにあったって一つだけ注意しなければならないことがあります。」


「なんだ?俺がウィリアムだと伝えれば良いだけの話ではないのか?」


「それが一番駄目なんです。いいですか。よく考えてみてください。エリザベート様はご存命でいらっしゃったのにこの10年間、国に帰ることがありませんでした。それには何らかのわけがあると思いませんか?もしかしたら誰かに追われているとか、記憶がなくなっているとか。そこにウィリアム様が急に現れてみてください。彼女は混乱してしまいますよ。」


 そう言われてはっとした。

 思いがけずエリザベートと再会したことで冷静さを失ってしまっていた。

 そうか、そういう可能性もあるのか。

 せっかく見つけることが出来たのに何かの事情で俺のことを避けていなくなってしまうかもしれない。

 また会えなくなってしまうのは嫌だ。

 こういうときこそ冷静にならなければ。


「分かった。じゃあ、どうすればいい?」


「第三王子ウィリアム様としてではなく、そうですね………ウィルなんてどうですか?ただのウィルという人物として、まずは彼女に知ってもらうのはどうでしょうか?」


「ウィル、か。よし、そうだな。それでいこう。」


 ウィリアムの名前とも近く、エリザベートが忘れていても思い出すきっかけにはなってくれそうだ。


 そしてこのときから、俺はウィルとしてエリザベートに近づくことにした。